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残念系美少女物語

『残念系美少女物語』

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 帰ってきた『残念系美少女物語』!!(ぇ

 はい。三月十五日です。
 なのはさんのお誕生日ですね。おめでとうございます。今年はちゃんとお祝いのss書きました(汗
 といっても、完全に滑り込みですね(苦笑
 でも書かないよりはましと思い急いで書きました。
 簡単な小ネタにしようかなって思ってたんですけど、意外と好評(?)だった『残念系~』の設定で誕生日な物語を書かせていただきました。
 しかし、ね。
 祝福すべきなのはさんの出番が……
 それから世紀のおっぱいマイスターが下品……(『残念系~』は最初からそうだったか

 『残念系~』設定でフェイトさん+アリサさんも書きたいなー、とか考えつつ投下。
 追記より『残念系美少女物語』特別篇です。
 興味のある方はどうぞ。
 ※ちなみにR-15ぽかったりもする。マイスターのせいで(滅

 


 『残念系美少女物語』



 身を凍らせるような寒々しい日々にも出口が見え始め、日中はそこまで厚着をしなくても過ごせるくらい暖かく陽気な日が続くようになった三月上旬。
 それでも依然として、女子高生の装いは、冬使用のままで、外を歩く時はマフラーに、コートを着用。屋内では、ブレザー、セーター、Yシャツと着て、気を使う子はさらにYシャツの下にインナー(ヒートテック着用の子が多い)を着こんでいる子もいる。さらに寒さをしのぐうえでも乙女の花園を守護する薄布を覆い隠すうえでも防御力皆無のあのプリーツスカートの下にジャージなりストッキングを穿くなりと冬用装備をする子もいる。
 ああ、邪魔だ。邪魔過ぎる。
 そんな厚ぼったい服装に対して若干の怒りを感じる少女がいた。
 この少女もプリーツスカートの下にストッキングを穿いて寒さをしのぐことはするのだけれど、大好きな相手までもそれを着用しているというのはいささか穏やかな話ではない。
 それもある場面・状況においては、だ。
 その状況とは互いの全てを見せ合い、愛を確かめる行為。少女の柔肌を隠さんとする衣服など邪魔以外の何物でもない。
 いや、趣向の一つに着用したまま、というのがある。また衣服を一つずつひん剥いていくからこそいいと思う人もいるかもしれない。
 趣味趣向は人それぞれだ。この少女がそのことに関してとやかく言うことはないのだけれど、しかし少なくとも、彼女にはそのような趣向は若干あるも今この時ばかりは冬仕様の制服の防御力の高さは実に腹立たしいのである。
 海鳴市近郊に位置する豪邸――テスタロッサ邸。その二階にあるとある少女の私室にて。
 一人用のふかふかベッドの上に、二人の人影が認められた。
 一人はそのベッドに体を沈みこませ頬を紅潮させている女の子。蒼い目が特徴的な、ちょっと幼さを残した少女である。
 高町なのは。
 私立聖祥大附属高等学校二年生で、生徒会長を務める当校の有名人。ここ数カ月は恋人の存在もあり、さらに有名になったのはまた別のお話。
 もう一人は前述の少女――なのはの上に馬乗りで覆いかぶさり、慈愛顔で見つめ、まさに今話したように野暮ったい冬仕様の制服にその手をかけている女の子だった。こちらは真紅眼が印象的で、慈愛顔から着々と獲物を仕留める野獣の顔へと変貌しつつある。
 フェイト・テスタロッサ。
 才色兼備という言葉を体現した少女。ある日までは、先生の言うことには絶対服従の根暗な委員長キャラだったのだけれど、なのはと恋人になってからはその姿を豹変。根暗って誰のことですかと、それまでの性格を払拭したフェイトは学校内外でなのはへの愛を爆発させ、活発な姿を惜しげもなく披露するとんでもない少女に変貌した。加えて、アニメ、ラノベが大好きなインドア派でもあり、趣味が高じ、二次創作活動を行っている多趣味な少女。
 「多趣味」
 これを使えばどんなに気恥ずかしい趣味趣向もプラスに捉えられるような気がする。
 そんなことはともかくとして。フェイトの運営する二次創作小説ブログ『心優しき金の閃光』はその筋では名の知れた二次創作ブログである。こちらもある日を境に一日の平均閲覧数は500を超えた。記事の特徴は顔文字を多用すること。寄せられるコメントの特徴はコメント末尾に「爆発しろ」と、管理人のプライベートにまで踏み込んだアットホームなブログである。
「なのは……いいよね?」
 着々とブレザーのボタンを外しながら、うっとりとした声音でフェイトが囁く。
 なのはは身をよじってフェイトの作業妨害をするもののその手が止まるほどの抵抗は見せてはいなかった。頬を朱に染め、顔を逸らすばかり。
「……なんで、こうなっちゃったのかな。わたしたち」
「それはもともとだよ。うん」
「今日は録り溜めたアニメの観賞会ってお話じゃなかったっけ?」
「それはこの後。私は今すぐにでもなのは分を補給しないといけないんだ。だってここ二週間となのはと二人きりになれなかったんだもん。私よりも先輩たちの卒業式の準備に時間を割くから私はなのは分が枯渇してミイラになっちゃうところだったんだから」
「うぅ。でもちゃんと説明したよね? 今年度最後の生徒会のお仕事が先輩方の卒業式だって。お世話になった先輩たちにはやっぱり気持ちよく卒業してもらいたかったからその準備に追われちゃうよって」
「ふん、だ。そんなの知らない」
「知らないって言ったもん」
「聞いてない。あ、そっか。そうだよね。なのはは旧生徒会の先輩に可愛がってもらってたもんねっ。まるで実の妹みたいにホントに、本っ当に可愛がってもらってたもんねっ! そのお礼はちゃんとしないとだもんねっ!」
「……嫉妬に聞こえるのは気のせいかな?」
「嫉妬なんてしてないよ! ただ学校でなのはを見かけたら私が隣にいても平然と頭を撫でてる先代の会長にソウルジェムが濁ったりなんてしてないから」
 じっとなのはを見下ろし、フェイトは笑いかけた。狂気の光を湛えた笑みを。
 なのははそんなフェイトを見て、苦笑を隠せずにはいられなかった。
 独占欲の塊というか――まあ、それはそれでなのはにとっては嬉しいのだけれど、たまにフェイトの嫉妬というのは常軌を逸している気がする。現に今もそうだ。午前授業を終え、久しぶりにフェイトの家に遊びに行ったらお茶菓子が出る間もなく、ベッドの上でこんにちは。窓から初春を思わせる暖かな日差しが差しこんでいるというのに、二人の状況は限りなく夜のもの。もうブレザーはパージされてるし。
「なのは。セーター脱がすから身体、浮かせて」
「ん……」
 それでもやっぱり素直に従ってしまう辺り、なのはも深層部分ではフェイトを求めているのかもしれない。というか、気持ちはフェイトとまったく同じだ。ただフェイトほど正直に言えないのがなのはなのである。
 しかし、セーターを脱がし終えたフェイトがなのはのYシャツのボタンに手をかけた時だった。
「ねえ。フェイトちゃん」
 おもむろになのははフェイトの手に自分の手を重ね、脱がす手を止めさせた。
「ん? なあに?」
「今月の15日なんだけどね」
「うん」
「期待してていいよね?」
 横顔をフェイトに見せるなのはは、気恥ずかしそうにちらちらとフェイトの目を見て言った。
 フェイトは、「もちろん!」と二つ返事で返したが、内心では唐突な話題にテンパっていた。
 14日じゃなくて、15日??
 何か予定があったっけ、と脳内スケジュール帳に検索をかけるがヒット件数はゼロ。
 なのはをひん剥いていたその手の動きは完全に止まり、代わりに「楽しみにしててね♪」と大見えを切り、その日はキスを落とすにとどめたフェイトだった。



    ◇ ◇ ◇



 ――fate:さあ、私のために力を貸してもらおうか。

 カタカタカタ、と。
 その日の夜のことである。
 暖房で十二分に自室を暖めたその快適空間の中で、お風呂上がりにつき半裸の格好の少女は机上にて起動するPCに向かっていた。
 耳元にヘッドセットを装着したフェイトは、上半身を身体にフィットする黒のインナーで覆い、だけれど下半身は同じ黒であるが下着姿だった。いくら部屋が暖かいからといってもこの格好はあんまりである。まあ、その格好も画面の向こうにいるとある人物からすれば目に焼きつけたいあまりに発狂していることだろう。というか、もうすでにしているようだ。
フェイトがPC上で起動しているの「Skype」。
 さっきから画面によく知ったHNが書き込みを連続で行ってきていた。発狂している人物その人である。

 ――oppai:力を貸す? なんやねん急にそんな偉そうに。お風呂から帰ってきていきなりかい!

 独特の訛りが文章にもトレースされている人物の書き込みから若干不満が感じ取れた。
 その名を見てもらえばすぐにわかると思う。言わずもがな。世紀のおっぱいマイスターその人なのだけれど、彼女はフェイトがスカイプに復帰した途端、雪崩のような凄まじい量の書き込みを行ってきた。

 ――oppai:こちとら新巻の原稿サボってスカイプやってるんよ? タダで力を貸すつもりは髪の毛一本分もないで。
 ――fate:何が望みなんですか?
 ――oppai:決まってるやん。写真や写真! 今、ホムタロッサちゃん、風呂あがりなんやろ?
 ――fate:ええ。そうですけど。
 ――oppai:せやったら裸体を晒せや! エロ写メ・ギビットゥ・ミィщ(゚ロ゚щ) カモ-ンщ(゚ロ゚щ) カモ-ンщ(゚ロ゚щ)

 また、始まった。
 フェイトがこのように世紀のおっぱいマイスターを始め、ブログにコメントをよく残してくれる人とスカイプでやりとりするようになったのは去年の暮から。
 どうせなら、とアリサが使っているのとはまた別のグループを作り、そこに常連さんを招いて雑談に興じたり、近況報告をしたり、果ては作品の批評会などをしたりとそれまで以上の濃い付き合いをするようになっていた。
 基本的に参加者はブログ管理人二名。「ホムタロッサ(フェイト)」と「在紗(アリサ)」、それから常連中の常連である「烈火のニート侍@仕事をください」、「祝福の風・妹」、「世紀のおっぱいマイスター」である。
 その五人のスカイプのやりとりで毎回と言っていいほど行われるのが、世紀のおっぱいマイスターとフェイトの意味のわからない掛け合いである。基本的にマイスターが性的な要求をフェイトにするもので、集まる度に一回は必ず起こる。

 ――fate:どうして毎回マイスターは私にそういう要求してくるんですか!?
 ――oppai:はっきり言うで。私はホムタロッサちゃんの身体に欲情してるんよ。ホムタロッサちゃんの裸体を妄想しては毎回オ○ニーしてるんや! 今だって半裸晒してくれると信じて全裸待機!(キリッ
 ――fate:(;´゚д)ポカーン

《arisaがログインしました》
《reinIIがログインしました》
《signumがログインしました》

 ――arisa:うわぁ、最悪なタイミングで出てきちゃったわね。誰よ。このザ・深夜のエロテンション(A-´д-)フゥ・・・
 ――fate:こんばんは、在紗。妹さん。無職侍さん。
 ――reinII:こんばんは、ホムタロッサさん。えっと、うちのマイスターがとんでもなくご迷惑かけてごめんなさいです。
 ――signum:ちなみにな、ホムタロッサよ。主が言っておられることは真実だ。自室を先ほど覗き見たが、全裸だったよ。
 ――fate:ススス… (;-_-))) 【マイスター】 (((¬_¬;) ススス…
 ――oppai:ホムタロッサちゃんにドン引きされたorz でもなんやろ。ホムタロッサちゃんにぞんざいな対応されると局部が疼いちゃう★
 ――arisa:……下品過ぎる。中学生男子並みの変態テンションね。マイスターの平常運行といえばそうなのかもしれないけど。
 ――fate:と、とりあえず。役者は全員出揃ったので、本題に入らせてもらうね。今回、私がみんなを
 ――oppai:ホムタロッサちゃん、私のこと放置プレイしようっていうん? それならええよ。ええよ。すっごく感じちゃうんやからっ! もうイキそう///
 ――fate:招集したのは今月の15日について聞きたいことがあるからなんだ。皆はさ、15日が何の日かわかる? (本日の決まり:マイスターは無視しましょう)
 ――arisa:ポカ―(o゚Д゚o)―ン
 ――reinII:03/14じゃなくて03/15ですか?
 ――fate:うん。ホワイトデーじゃなくて、その次の日。
 ――signum:これといって休日というわけでもないな。しかし、唐突過ぎて話が見えん。なぜいきなりそんなことを尋ねる?
 ――fate:申し上げにくいんだけど、実は恋人にその日妙に期待されちゃってて……(苦笑 でも私には身に覚えがないんだよね。
 ――oppai:恋人? ってことはなのはちゃんの話題キタ━q(゚∀゚)p━!!!!!!
 ――arisa:ポポポ( ´゚д゚)´゚д゚)´゚д゚)´゚д゚)ポヵ-ン...
 ――fate:キィッ(o`゚皿゚)9゙マイスターッ! 軽々しくなのはの名を呼ばないでくださいッ! 彼女を構成する三つの音をマイスターが口にするとか私の至高の女神が穢れるでしょう!
 ――oppai:あぁーッ!? さすがに言い過ぎやろ! 何、穢れるって! 私が、な・の・は、ちゃんの名前を呼ぶとなんで穢れるん!? ってか、無視しようって言うたホムタロッサちゃんが反応してるやんかww ホムタロッサ アウトー!(デデーン
 ――fate:(メ゚皿゚)イラッ うるさいですよっ! いいですか? さっきから私はなのはの名を口にするなと言ってるでしょう!キィィィ!!((ヾ(≧皿≦メ)ノ))キィィィ!!
 ――reinII:なるほど。そういうわけですか。しかし、そこまで好きになっていながら気付かないとは……これが「恋は人を盲目にする」ってやつなんですね。
 ――arisa:さすが妹ちゃん。あたしたちの中で一番女の子女の子してるだけあって察しがいいわね。
 ――reinII:在紗さんはもうすでにご存じなのですね。
 ――arisa:ええ。3月15日ってだけでわかったわ。
 ――fate:え? 何、妹さんも在紗もわかったの!? ホント!! ぷりーず・てるみー・わっと!?
 ――signum:在紗。今のreinIIへの発言を聞くにお前は女の子女の子していないのか? お前もホムタロッサ同様恋人がいる身だろうに。
 ――arisa:烈火さん。今その話をあたしに振るのはやめて。泣いちゃうから。
 ――reinII:在紗さん……また月の女神を怒らせたのですか?
 ――arisa:月の女神って……何よ。素敵な隠語じゃない。
 ――oppai:淫語!? あらやだ、在紗ちゃんエロっ///
 ――fate:(ダメだあのマイスター、早く警察に通報しないと)
 ――fate:フレッシュな話題だよ、月の女神を怒らせた話はね。実はちょうど昨日のこと。在紗また誤爆しちゃって・・・(・∀・i)タラー・・・
 ――reinII:またですか……(げんなり 失礼を承知で言わせてもらいますけど、在紗さんには学習能力っていうものがないんですか? 今年に入ってこれで何度目ですかまったく!
 ――fate:通算108回目だね。一日一回は二次元に囚われるだなんてまったくどうかしてるよ。在紗って人間は理解に苦しむね。ホント、わけがわからないよ。
 ――arisa:QB口調ウザ!? ってかいちいち数えてんじゃないわよっ! バカホムタロッサ!
 ――signum:ホムタロッサよkwsk
 ――fate:烈火さんが「kwsk」とか使うのすごく新鮮w えっとですね。下校デート中にアニメイトに寄っていいなんて言い出しちゃったんだよ、このお嬢様は。
 ――signum:……
 ――reinII:……
 ――arisa:二人とも。その沈黙はあたしを殺すわよ? いいの? 今からマイクセットして自殺の実況生中継するわよ? あーあ。一人ずつ名前呼んでからリストカットしたげるから。まず妹ちゃんから呼んであげる。
 ――reinII:お、落ち着いてください! ここで在紗さんが命を断っちゃったら月の女神が嘆き悲しんでしまいますよ!
 ――arisa:……あたしの死を嘆いてくれるのかな。だったらそれでも……いいよ。あたし、死ぬねSZK……
 ――signum:リイン、話題を変えろ! 在紗の様子がおかしくなってる!
 ――reinII:え、えっ!? あの、在紗さんっ! とりあえず今回の誤爆の原因だけお聞きしてよろしいですか?
 ――signum:話題変わってないぞリインorz
 ――arisa:……初音ミク。オリジナル曲の予約が始まってて……それで
 ――fate:いい曲であるのは間違いないし、予約に行くのもわかる。だけど、何も月の女神を連れて予約にいくだなんてね┐(-д-`;)┌ ヤレヤレ
 ――oppai:なあなあ。マイク使って話してもええかな?
 ――fate:このタイミングで割って入るとは、さすが空気ブレイカー……。まあ、一向にかまいませんけど。にしても今までだんまりだなんて珍しいですね。

 ガチャガチャ、と。
 チャットに励んでいるフェイトの耳元に装着されている音に雑音が聞こえ始めた。マイスターがPCにマイクをセットしている音のようにも聞こえた。
 それから間もなくして、フェイトの耳元にヘッドセット越しから音が聞き取れた。
 くちゅ、くちゅ、と。
 やけに卑猥な水音と、
『……っぁん』
 妙に艶のある声が聞こえてきた。
「……マイスター? 何の音ですか。今の?」
 フェイトは慎重な声でマイク越しに呼び掛けた。PC上では、マイクがついてない面々が書き込みを行う。

 ――signum:主? 何をされてるんですか?
 ――arisa:ただの変態が痴女にレベルアップかしら。グレイモンがスカルグレイモンに間違って進化しちゃうのと同じくらい最悪ね。誰か警察に通報してちょうだい。
 ――reinII:在紗さん。その説明、すっごいわかりやすいですね(汗 じゃあ正規の進化の場合は変態から何になるんですか? 無印はメタルグレイモンでしたけど。
 ――arisa:そうね。変質者じゃない?
 ――reinII:……どちらにしろ嫌な進化ですね。とりあえずリインは真相解明のためマイスターの部屋見てくるです!(敬礼

『……や、リイン来たらアカン。今来られたら……イっちゃうところ見られてまうやろっ』
「さすがに演技ですよね?」
『この音聞いてもそう言えるん? 今すっごくいやらしい光景が私のPC前には広がってるんよ』
 くちゅ。ちゅく、と妙にリアリティのある水音をマイスターは奏でた。その際、悩ましい声も添えて。
「ちょっ!? 嘘ですよね!? 嘘だって言ってください! 釣りなんでしょう? ねえ、マイスター!」
『ぁん、気持ちえぇよ……なのはちゃんっ、もっと深く……っ』
 恋人の名を口にしながら快感を貪る声をヘッド越しに聞いたフェイトの中で、何かが切れた。
「こぉぉぉらぁぁぁぁっっ!!! 誰をオカズにしてるんですかッ! なのはでオ○ニーするとか最低にもほどがありますよッ!! くそっ、今からマイスター宅に行って粛清してやるッ!!」
 我を忘れフェイトは激情。深夜を迎えてトンデモないテンションのマイスター相手に尖り声を発する。その声は他のメンバーにも聞こえているのだけれど、フェイトは止まらなかった。
 とにかくやめさせたかった。例え妄想の中だとしても自分以外の誰かを慰めているなのはのことなど考えたくもなかったからである。当たり前と言ったら当たり前なのだが。
 さすがにこの時ばかりは温厚なフェイトもマイスター相手に殺意を抱いた。マジで。
 フェイトがマイスターに本気でキレて歓談どころではなかったスカイプも十分後には、ようやく静けさを取り戻した。短的にぶっちゃけてしまえば、マイスターがイッて落ち着いたためである。マイクの音を拾う限り、一際大きい嬌声をマイスターが上げた時、祝福の風・妹がその瞬間にエンカウントしたらしい。フェイトのヘッドセットから妹の叫び声が聞こえたからである。
「……絶対許さない……次のイベントでマイスターにあったら迷わずソウルジェム砕くッ」
『はぁー……足りへん。次は顔も知らない月の女神に慰めてもらおかな』

 ――arisa:マイスター……!
 ――oppai:冗談冗談。当分はホムタロッサちゃんとゆかりんちゃんの姉妹丼ならぬ恋人丼を堪能するつもりやから。

「マイスター。本当に怒りますよ?」
『もう怒ってるやんか』

 ――reinII:家族の自慰行為をこんな形で見聞きするとか一生のトラウマものなのですが……しかも自分のマイスターの。これがお姉ちゃんのだったら襲ったのにぃ
 ――signum:お前の言ってることも私には理解しかねるよ。どちらにしろ一晩で家族が二人もお巡りさんのお世話になる結末だけは勘弁してくれ。リインフォースの稼ぎだけでは私や他の者を養うことはできん。
 ――oppai:なんや二人とも興奮せえへんかったん? 私は聞いてくれる人がいたからすっごく興奮したよ。
 ――fate:もうこの話はお終いにしましょう。私がしたいお話が全く進んでない。
 ――oppai:いやいや。ちゃんとホムタロッサちゃんの話を聞いた上で、私がその日が何の日かを実践したやんか。
 ――fate:どういうことですか? くだらなかったらマイスター省いて別のグループ作りますからね。
 ――oppai:なにそれこわい。ま、ともかく。ホムタロッサちゃんが聞きたかった3月15日っていうんは、『みんなでいこう』の日や。
 ――fate:???
 ――oppai:伝われへんか? 3:みんなで、15:いこう=みんなでいこう=みんなでイこう。つまりでみんなでイく。ようするに乱交パーティの日や。

 PCを前にマイスターがドヤ顔を浮かべているのが容易に想像できた。あの痴女、本当に逮捕した方がいい。でないと近々発売予定の夜天颯の新巻にもこのテンションが伝播しかねない。
 フェイトはスカイプを手際よく操作し、今まで会話をしていたグループとは別に新しいグループを作り、そこにマイスター以外のメンツを招集した。

 ――fate:こっちで続きをしよう。
 ――arisa:いや、もう続きとかしたなくないんだけど。無駄に疲れたわ。マイスターのせいで。
 ――reinII:申し訳ないです……
 ――signum:我らが代わりに非礼を詫びよう。
 ――arisa:そもそもホムタロッサが気付かないのがいけないのよ。二人があやまることじゃないわ。
 ――fate:だって本当にわからないんだもん。でもすごく期待しててさ……
 ――arisa:本気で言ってるわけ? いい! 今月の15日ってあの子の誕生日よ!

 ガタン、と。
 フェイトは座っていた椅子から転げ落ちた。
 誕生日だと? なんということだ。なぜそんな大切な事に私は気付かなかったんだ!? というか普通に考えればそれ以外に考えられない。ああ、もう。私って、ほんとバカ。
 フェイトは頭をぐわーっと抱え、ぶわーっと金糸をかき乱し、バフバフとすぐそばで待機していた枕を殴りつけ、ベッドにダイブしてから派手にその上で転がったのち、「orz」の形で床に落ち着いた。

 ――arisa:すごい音したけど大丈夫?
 ――fate:大丈夫。なんでもないよ。ありがとう。というかごめん。
 ――arisa:まったく、NNHのこと何でも知ってるとか言ってたくせに肝心なことは知らないんだからちゃんちゃらおかしいわね。アンタのNNH愛は所詮そんなものってことよ。これはあたしと一緒に自殺してお詫び申し上げるしかないわ。
 ――fate:自殺はしない。でもありがとう。おかげで、私が取るべき対応は決まった!

 まずはプレゼントの準備をしなければ。
 あれこれ思案を巡らせながらフェイトはさらにキーボードを叩いた。

 ――fate:妹さん、烈火さんありがとうございました。このお礼は必ずします。
 ――signum:気にするな。在紗のように誤爆だけ気を付けてくれれば私はそれでいい。
 ――arisa:ヽ(´。-д-`)ノ アーウ……その話はしないでぇ
 ――reinII:リインは誕生日の出来事をssにしてもらえればそれだけで満足です。もちろん杏さやに変換して書いてくださいね♪
 ――fate:うん。わかった。それじゃ、私はこの辺で落ちます。今日は本当にありがとう!!

《fateがログアウトしました》

 PCをシャットダウンしたフェイトは、ホワイトデーのお返しとは別に何をプレゼントしようか考えながらその日、眠りについたのだった。



   ※ ※ ※



 三月十五日。
 来るべき恋人の誕生日当日。
 フェイトは、練りに練ったプランを脳内で何度も反芻しながら学校へと向かった。
 昨日のホワイトデーのお返しは、手作りのチョコレートをフェイトがなのはに食べさせてあげるという幸せムードで終結している。照れてはいたようだが、なのはの様子を見る限りでは喜んでくれていたのは間違いない。
 しかし、問題は今日である。
 いくらプランを練ったといっても不安が拭いきれるわけではないのだ。なにせホワイトデーと違ってお返しをすればいいわけではない。それにホワイトデーもそうだったのだが、ライバルが多すぎる。聖祥高の人気者であるところの高町会長の誕生日となれば、それはもう学校中の女生徒がプレゼントを渡しに殺到するだろう。というか去年はしてた。昨日のあの瞬間まで記憶から抜け落ちてたが、確か昨年のなのはの誕生日は戦争状態だった。リアルマミさん状態だった当時のフェイトは密やかに祝ったのだった。
 去年の戦争状態を思い出すとプレゼントを贈って、はいお終い、とはいかない。もっと記憶に残るとサプライズをしなければ。というか、今年もそのような紛争状態になってしまっては今日中にプレゼントを渡せるとも限らないではないか。
 フェイトは不安感を募らせながら、聖祥高の正門をくぐった……のだけど。
「え? なにこれ?」
 校門に足を一歩踏み入れた途端にフェイトの周りをクラスメイトを始めとする十名くらいの女生徒に囲まれたのである。
「フェイトさん。悪いけれど、今朝のこの時間だけはなのはちゃんは渡さないっ」
 よほどの決意を秘めているのか、その瞳に闘志を燃やしたクラスメイトの発言にフェイトはたじろいだ。
 なんだというのだ? いきなりご挨拶じゃないか。
「えっと」
「授業の合間の十分休みもなのはちゃんは渡さない!」
 輪を成す別のクラスメイトが凄む。さらにフェイトは気圧された。不意打ちもあり、またあまりにも理不尽な要求を突き付けられたせいか、困惑の色は隠せない。
「ごめん。何が目的なのかさっぱりわからないんだけど」
「今日ぐらい! それも学校にいる間だけでもなのはちゃんとベタベタしてほしくないっていう副音声だよフェイトさん」
「ベタベタって……私、そこまでなのはにべったりってわけじゃないよ?」
「十分休みの度に二人一緒に同じトイレの個室に入っている人の台詞かな?」
「……これは驚いた。よく知ってるね」
 昨年十月に開催されたオンリーイベントのあの日。なのはと二人で個室にこもりキスやらお膝抱っこやらとイチャイチャしていたのが、フェイトの中に眠る何かを呼び醒まし、以降、ことある毎にフェイトはなのはと共にどんな個室(ここが重要である。トイレの個室のみならず更衣室でも学校に設置してある簡易シャワールームの個室。漫画喫茶の個室もそうだ)にも入り、密閉空間であれやそれやを堪能していた。それは学校内でも同じで、たまに誰もいないことを確認すると無理矢理なのはを個室に連れ込んだこともあった。一番新しい記憶だと、一昨日の昼休みのことである。
 しかし、毎回誰もいないことを確認しているフェイトなのだけれど、なぜ知っているのだろうか。表情を険しいものに変えながらフェイトがクラスメイトと対峙する。
 クラスメイトはフェイトが抱く疑問を察したのだろう、「教えてあげる」と口を開いた。
「聞こえてるの」
「何が?」
「二人の声が!」
「なんだって!?」
「押し殺してるようだけど、ぜ~~~んぶ丸聞こえ! フェイトさん、学校は学び舎だよ! 断じて愛の巣じゃないよっ」
 ――学校は学び舎じゃない。私となのはの愛を深めるための巣だよ。
 それは一昨日、フェイトがなのはの耳元でしつこいくらいに囁いた台詞だった。
 他人に自分の発言を輪唱される恥ずかしさをこの時改め知ったフェイトである。しかし、聞こえていたとは……。やはり閉じこもるなら学生の利用頻度が少ないトイレでなければ。
「――あれ? みんな何してるの?」
 そんな時だった。渦中の人物の一人であるなのはが、校門すぐ脇で臨戦態勢を取るクラスメイトと囲まれているフェイトに声をかけてきたのは。
「あれ? フェイトちゃんもいる。どしたの?」
「それがね。実は今日に限って私に尖閣諸島チックな問題が発生しちゃって」
「尖閣諸島? ずいぶんとまた物騒な問題が。領有問題ってことだよね?」
「うん。そうっぽい」
 フェイトを始め、取り囲むクラスメイトたちはなのはに向けて大きな苦笑いを浮かべてみせた。
 なのはは、「へー」と理解したのかそうでないのかわかりかねる反応を見せた。
「この学校は私のものだーって感じなのかな? 学校は別に誰の所有物でもないと思うんだけど」
「違うんだよ。なのは」
「え?」
「学校じゃなくて」
 そう言ってフェイトはなのはを指差して、
「なのはの所有権」
 眉を曇らせた。
「わたし? にゃはは。なーんだ。そんな面白い話してたんだね、フェイトちゃんもみんなも」
「面白い話って」
 こっちはさっぱり理解できないでいて、混乱してるというのに。
「もう今さら言うまでもないと思ってたけど、ちゃんと言わないとダメなのかな。あー、でもそういえば今日って今日だもんね」
「今日って今日……意味がわからないよなのは」
「うんうん。仕方ないと言ったら仕方ないのかな? 慕ってくれるのは嬉しいし、祝ってくれるのも嬉しいよ。でもはっきりさせないとダメってことかな。結構大っぴらにしてるつもりではあったんだけど」
 なのはは何かを思いついたように楽しげに笑うと、フェイトを囲む輪の中に進んで入っていった。革靴を鳴らしながら、フェイトの元までやってくるとトン、と地を蹴りフェイトに抱きついた。なのははフェイトの首に腕を回し、ぎゅーっと体を密着させる。
 フェイトは突然ボディタックルじみたなのはの強襲になんとか対応し、受け止めるも内心心臓はバクバクした。
 それを知ってか知らずか。いや、知らないのだろう。なのははフェイトの頬に小さくキスを落とした後、クラスメイトの方へと振り返ると、
「わたしの所有権は、身も心もずーっとフェイトちゃんのものだよ。だから、ごめんね♪ 今日もまたわたしはフェイトちゃんとべったり過ごすつもりだから」
 悪戯に微笑んだのだった。
 こう言われては、クラスメイトも立つ瀬がない。項垂れ、口々に諦めの意を零していた。
 しかし、なのは至上主義のフェイトは黙ってはいない。
 なのはの発言を鼓膜が捉え、脳が理解した頃は幸福感で心臓がハートの形をして胸から飛び出してしまいそうだった。
 フェイトは抱きついたままこっちを見つめ「てへへ///」と頬を真っ赤に染めるなのはを見て、リミットブレイク。これではなのはがフェイトのプレゼントではないか。フェイトは颯爽となのはを抱え上げ、一目散に二人きりになれる所へと駆けていったのだった。
 その先は、保健室。
 こう毎回毎回場所を探すのに困窮していたフェイトだけれど、唯一この部屋が日頃誰もおらず二人きりになりやすいのである。どういうわけか知らないがシャマル先生はいつも留守。
 開錠し、なのはをベッドに手際よく寝かせると瞬く間に扉に舞い戻り施錠。一連の流れが川の流れのようになめらかで美しかった。それだけ手慣れていることが分かる。
 フェイトは施錠後、ベッドに寝かせたなのはの上に馬乗りの姿勢を取った。先日もこんな風に押し倒したことを思い出しつつ。
「なのは。お誕生日おめでとう」
 満面の笑みを浮かべて、最愛の人の誕生日を祝福した。
「一番最初にフェイトちゃんに言ってもらえて嬉しい。今日家族の誰にも顔合わせずに家出てきた甲斐があったの」
 私に一番最初に「おめでとう」を言ってもらいためにそんなことまで。健気すぎる。可愛すぎる。愛おしすぎる。もうだめでしょう。さっきから可愛すぎて、心臓の鼓動が限界を超えそうだ。
 フェイトは感極まって涙を浮かべた。
「プレゼントいろいろと用意してあるけれど、何がいい?」
 ラブロマンス、アニメの映画チケット然り。なのはに似合いそうな洋服然り。アクセサリー然り。裏ルートで入手した夜天颯の未発売新刊サイン入り然り。一日フェイト券(自由に命令できる券である。身近なものに当てはめると「肩叩き券」のようなもの)然り。他多数用意している。とっておきは一日フェイト券である。フェイトがなのはの言うことなんでも聞いてあげちゃう素晴らしいプレゼントだ。どんなことでも言うこと聞いてあげちゃう。どんなに恥ずかしいことを頼んでも決して「No」とは言わない。
 なのはは、んー、とベッドのシーツを掴んだり離したりしながら弄ったあと、フェイトと唇を触れ合わせた。
 またベッドに頭を沈ませるとなのはは少し朱に染まった顔で笑いながら、今しがた触れ合わせていたフェイトの唇に人差し指を添えた。
「フェイトちゃんが欲しい、です」
「じゃあ、遠慮せず受け取ってね」
 そっとまたフェイトはなのはの唇にキスを落としたのだった。

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NoTitle 

なのはさん昨日誕生日おめでとうございます!
26さ(slb
きっとフェイトちゃんに最高のプレゼントをもらったはずです
自分のより高いケーキで祝いました><
いやあ、また残念系に戻るとは…これ結構好きですw
ふぇいとちゃん…なのはさんの誕生日を忘れるなんて…
アリサもアニメイトって…ナカマガイル(^O^)/
ものすごくおもしろかったです
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